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田口有子

第61回 公共交通機関の利用法①【JR】

通う病院が増え、関わる人が入れ替わるほどに、
夫の状況をきちんと伝える大切さを実感した。

 夫が病に倒れ、半身マヒという障害を持つ身になり、外出に車イスが欠かせない生活になった。そして、車イスでの外出がいかに大変か、身をもって知ることとなったのである。わずかな段差に苦戦し、階段しかない場所をうらめしく見つめ、傾斜やデコボコの多い歩道に悪戦苦闘する。今でもこうした状況はあまりかわらない。しかし、外出を制限しようとは思わなかった。仕事、リハビリはもちろん、友人との会食、演奏会、買い物、旅行など、発病前と同様、行きたい時に出かける生活にしていたかった。
退院から1年半は、もっぱらタクシーのお世話になった。JRを利用するようになったのは、夫のリハビリが進み、階段でも手すりさえあれば昇り降りできる自信がついてからだった。時期的には、発病して2年がすぎたころ。このころから、徐々に公共の交通機関を利用するようになっていった。
わが家の場合、日暮里駅から近いこともあり、一番多く利用しているのはJRである。何度も利用していると、JRを上手に利用するコツがつかめてくる。

◎コツその1

出かけることが決まると、ネットで乗り換え駅や到着駅がバリアフリーかどうかを調べる。駅の構内図がネットで簡単にチェックできるので、エレベーターの有無、バリアフリーのトイレの場所などを事前に簡単に知ることができる。ただ、バリアフリーではない駅もまだまだ多い。その場合は、別の駅を利用するか、別の交通手段を考えるようにしている。
バリアフリーではない駅をどうしても利用しなければならない場合は、駅員さんに協力をお願いすることも考える。ただ、夫は手すりがあれば階段でもなんとかなるので、私たちだけで行動する予定をまずは組むようにしている。

◎コツその2

乗車する際は、かなり余裕をもったスケジュールで駅に出向く。ホームへの移動はエレベーター頼み。駅員さんに協力を頼めば、待つ時間は結構いろいろな場面で出てくる。安全な移動、乗降をするためにも、時間的な余裕はなにより大事だと思う。

◎コツその3

駅に着いたら、子供料金のキップを夫と私の分の2枚購入する。身障者手帳1級の夫と介助者1人は、乗車料金が半額になるので、子供料金と同じなのだ。当初は改札でスイカを出し、身障者であることを申し出て、清算していた。しかし、有人の改札は混雑していることが多い。「子供用のキップを購入してください」と何度か言われ、今では事前に子供料金のキップを購入するようになった。キップと身障者手帳を見せることで、スムーズに改札を通過している。

◎コツその4

初めての路線や駅を利用する場合は、改札で駅員さんに介助をお願いする。駅員さんは、乗車までの車イスでの経路を案内してくれ、電車へ乗るためのスロープを用意し、乗り降りの介助や、きちんと乗り降りできたかを車掌に連絡してくれる。さらに、降車駅にも連絡を入れ、スロープを持った駅員さんを配置してくださる。安全に電車を利用するには、これが一番だと思う。ただ、駅員さんが来てくれるまで待ち、降車する駅に連絡が取れるまで待たなくてはいけないので、かなり余裕を持った行動にしなければならないとか、急用ができても途中下車はしにくいなど、デメリットもある。
最近は、何度も利用していて、駅の状況がわかっている場合は、介助のお願いをせず、私ひとりで介助するようにしている。これだと、健常者と同様、自分のペースで電車を利用することができる。

◎コツその5

注意していること。まず、朝・夕のラッシュ時はできるだけ利用を避けている。特急や新幹線は別だが、山手線や京浜東北線などの在来線は、かなりの混雑。時間帯をずらすようにしている。
ホームで待つ時に、車イスは、線路と平行に止める。ホームは排水のためもあり、線路側にゆるやかながら傾斜がついているようだ。そこで、乗る直前までは、線路と平行に車イスを止め、万が一でも線路に落ちないようにしている。

教訓:コツをつかめば、車イスでもJRは利用しやすい


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